平松さとし
フランス現地リポート 第8回
アントニオ・ポッリ騎手
インタビュー

2016/09/25

イタリア人騎手ながら、現在、フランスをベースに騎乗しているのがアントニオ・ポッリ騎手だ。
日本での知名度は決して高くない彼だが、実は深い結びつきを持っている。彼の奥様の旧姓はパメラ・デムーロ。どこかで聞いたことはないだろうか? そう彼女はミルコ・デムーロ騎手の妹であり、クリスチャン・デムーロ騎手の姉。つまりアントニオ・ポッリはデムーロ兄弟の義理の兄弟ということになる。
イタリア競馬の破綻に伴い、フランスへ移動して約1年のアントニオ。当初はアンドレ・ファーブル厩舎の調教ライダーとなったが、その後、騎手に復帰。パリから車で片道約5時間のところにあるストラスブール競馬場。ここに彼を訪ね、話を伺ってきた。彼が今年の凱旋門賞で最有力とみるのは……。

「ハーザンドが強いと思います。前走の愛チャンピオンSこそ大きく負けてしまいましたが、それまでの彼のパフォーマンスは素晴らしいものがありました。とくにダービーの勝ち方は印象的でした」そういうと、ジョッキーならではのコメントを続けた。「どんな強い馬でも勝ち続けるのは難しいこと。1度大きく負けたことでマークが薄くなるならジョッキーとしては乗り易い」

逆説的に日本馬にとってはそのあたりが厳しい材料になるのでは?と言う。
「マカヒキは素晴らしい馬。でも、日本馬ということでマークがキツくなる。クリストフ・ルメールは良いジョッキーなのでそのあたりをどうかいくぐれるかがポイントになるでしょう」

また、義弟のクリスチャン・デムーロが騎乗するラクレソニエールもチャンスは充分と語る。
「末脚のしっかりした馬なので2400mは問題ないでしょう。もちろんクリスチャンに勝って欲しいという気持ちはあります」

そのほかで、気になる馬はいるかを問うと次のように答えた。
「オーダーオブセントジョージ、ユーエスアーミーレンジャー、マインディングにファウンド。エイダン・オブライエン調教師がどの馬に誰を乗せて使ってくるのか……。このあたりの戦術面も気になりますね」

(平松さとし=文)