2017ドバイワールドCデー 回顧

9R 第22回ドバイワールドカップ(G1)回顧

2016年のワールドベストホースである米国調教馬アロゲート(牡4、父アンブライドルズソング)が、圧倒的1番人気(JRAのオッズ1.2倍)に支持され、昨年11月のG1クラークHを含む重賞5勝の米国調教馬ガンランナー(牡4、父キャンディライド)が3番人気(JRAのオッズ14.3倍)。4頭出しだった日本勢は、アウォーディー(牡7、父ジャングルポケット)が2番人気(JRAのオッズ10.4倍)、ゴールドドリーム(牡4、父ゴールドアリュール)が4番人気(JRAのオッズ16.3倍)、アポロケンタッキー(牡5、父ラングフール)が5番人気(JRAのオッズ20.4倍)、ラニ(牡4、父タピット)が7番人気(JRAのオッズ31.5倍)だった。
発馬直後にアロゲートが他馬と接触し、なんと馬群最後方に置かれるという想定外の展開に。その後、鞍上M.スミスに促されて番手を上げて行こうとしたが、初めての道悪に戸惑ったか反応は良くなく、向こう正面に入ってなお後ろから3頭目に位置した段階では、世界王者も万事休すかと思われた。
道中2番手にいたガンランナーが3コーナーで先頭に立った頃、ようやくアロゲートが進出を開始。大きなストライドでまくって3番手で直線に向くと、残り1ハロンでガンランナーを捉え、最後は2.1/4馬身抜け出して優勝。昨年8月のG1トラヴァーズS、11月のG1BCクラシック、今年1月のG1ペガサスワールドCに続く、4度目のG1制覇を果たした。おそらくは、このまま引退まで負けることはないはずで、134という現在の持ちレイティングがどこまで上がるかが、今後の焦点となりそうである。また、大ピンチにも全く動じず、冷静な手綱さばきで勝利に導いたM.スミス騎手にも感服させられた。
日本馬は、先行して粘ったアウォーディーが5着、最後方から追い込んだラニが8着、アポロケンタッキーは9着、ゴールドドリームは14着に終わっている。

ドバイワールドカップ(G1)

3月25日(土曜) メイダン競馬場 2,000m(ダート)
第9レース 現地時間 20:45(日本時間 3月26日(日曜)1:45)発走

※表は横にスクロールすることができます。

着順 馬番 馬名 性齢 騎手 タイム・着差 調教師
1 9 アロゲート 牡4 M.スミス 2:02:15 B.バファート(USA)
2 5 ガンランナー 牡4 F.ジェルー 2 1/4 S.アスムッセン(USA)
3 11 ネオリシック 牡4 J.ヴェラスケス 5 T.プレッチャー(USA)
4 14 ムブタヒージ 牡5 C.スミヨン 1 3/4 M.デコック(SAF)
5 7 アウォーディー 牡7 武 豊 1 1/2 松永幹夫(JPN)
6 12 ホッパーチュニティ 牡6 F.プラ クビ B.バファート(USA)
7 10 キーンアイス 牡5 J.カステリャーノ 1 T.プレッチャー(USA)
8 4 ラニ 牡4 R.ムーア 4 松永幹夫(JPN)
9 1 アポロケンタッキー 牡5 C.ルメール 5 山内研二(JPN)
10 6 ムーヴアップ 牡4 A.デフリース 2 3/4 S.ビン・スルール(UAE)
11 2 ロングリバー 牡7 M.バルザローナ 8 S.ビン・ガデイヤー(UAE)
12 13 スペシャルファイター 牡6 F.ハラ 15 M.リッチー(UAE)
13 8 フリアクルサーダ 牝5 A.フレス 1/2 E.シャルピー(UAE)
14 3 ゴールドドリーム 牡4 J.モレイラ 13 1/2 平田修(JPN)

※馬齢は主催者発表を記載。
エミレーツレーシングオーソリティの加齢基準日は南半球産馬が7月1日、北半球産馬が1月1日です。

関係者コメント

8R 第20回ドバイシーマクラシック(G1)回顧

このレース連覇を狙った英国調教馬ポストポンド(牡6、父ドバウィ)が、1番人気(JRAのオッズ2.1倍)。昨年のG1キングジョージ&クイーンエリザベスS、G1BCターフを含めて、4つのG1を制している愛国調教馬ハイランドリール(牡5、父ガリレオ)が2番人気(JRAのオッズ3.5倍)。日本から参戦のサウンズオブアース(牡6、父ネオユニヴァース)は4番人気(JRAのオッズ6.5倍)だった。
大方の予想通りにハイランドリールがハナを切り、競りかけていく馬もおらず、半マイル=54秒46、6ハロン=1分18秒35という超スローペースとなった。ポストポンドはハイランドリールをマークするように2番手、サウンズオブアースは4番手での競馬となった。
ペースが上がらないまま最終コーナーを迎え、瞬発力勝負になった中、抜群の手応えのまま直線残り400mで先頭に立ったのが、道中3番手で競馬をしていたジャックホブス(牡5、父ホーリング)で、同馬が後続を2.1/4馬身引き離して優勝。昨年、G1愛オークス、G1ヨークシャーオークスと2つのG1を制していたセブンスヘブン(牝4、父ガリレオ)が、道中6番手から追い込み2着。サウンズアブアースは伸びずに6着。直線で失速したハイランドリールは最下位の7着に敗れている。
3歳時、G1愛ダービーに勝ち、G1英ダービー2着の実績を残していたジャックホブス。管理するJ.ゴスデン調教師は同馬が3歳時から、完成するのは古馬になってからと語っていたが、4歳時初戦となったG2ジョッキークラブSは競走中止に終わり、診断の結果、骨盤骨折が判明。復帰戦となった10月のG1英チャンピオンS3着に終わっていた。
ここで、いよいよ本格化を思わせるパフォーマンスを見せたジャックホブスが、今季の欧州古馬12ハロン路線を牽引するのは間違いなさそうである。

ドバイシーマクラシック(G1)

3月25日(土曜) メイダン競馬場 2,410m(芝)
第8レース 現地時間 20:05(日本時間 3月26日(日曜)1:05)発走

※表は横にスクロールすることができます。

着順 馬番 馬名 性齢 騎手 タイム・着差 調教師
1 2 ジャックホブス 牡5 W.ビュイック 2:32:39 J.ゴスデン(GB)
2 6 セブンスヘブン 牝4 S.ヘファナン 2 1/4 A.オブライエン(IRE)
3 7 ポストポンド 牡6 A.アッゼニ 1 3/4 R.ヴェリアン(GB)
4 5 プライズマネー せん4 A.デフリース 1/2 S.ビン・スルール(UAE)
5 1 アーンショー 牡6 M.バルザローナ 2 1/4 S.ビン・ガデイヤー(UAE)
6 4 サウンズオブアース 牡6 C.ルメール 3 3/4 藤岡健一(JPN)
7 3 ハイランドリール 牡5 R.ムーア 1 1/2 A.オブライエン(IRE)

※馬齢は主催者発表を記載。
エミレーツレーシングオーソリティの加齢基準日は南半球産馬が7月1日、北半球産馬が1月1日です。

関係者コメント

 

7R 第22回ドバイターフ(G1)回顧

昨年のG1仏ダービー2着馬で、今季初戦だった前走G3ドバイミレニアムSを勝っての参戦だった仏国調教馬のザラック(牡3、父ドバウィ)が、1番人気(JRAのオッズ2.8倍)。昨年のG1ジャックルマロワ賞勝ち馬で、続くG1クイーンエリザベス2世Sで2016年のカルティエ賞欧州年度代表馬マインディングの2着になった際に、今年のドバイターフ出走馬の中では最高値となるレイテイング122を獲得した英国調教馬リブチェスター(牡4、父イフラージ)が2番人気(JRAのオッズ4.5倍)。リアルスティールの出走取りやめによって、日本から単騎参戦することになったヴィブロス(牝4、父ディープインパクト)は5番人気(JRAのオッズ8.8倍)だった。
ゲートが開くとリブチェスターが抑えきれない勢いでハナに立つ予想外の展開に。ザラックはこれを目の前に見る好位につけ、ヴィブロスは後方内ラチ沿いでの競馬となった。
直線に向きリブチェスターを追撃しようとしたザラックだったが、伸び脚は鈍く、代わって伸びたのが、同じ仏国調教の4歳馬で、ウジェーヌアダム賞を制しているエシェム(牡4、父フットステップスインザサンド)。同馬が残り100mでリブチェスターを交わそうとした刹那、更に外を飛んできたのが、直線に向くと進路を内から外に切り替えたヴィブロスで、同馬が最後はエシェムを半馬身交わして優勝。14年のジャスタウェイ、16年のリアルスティールに続き、ここ4年間で3度目の日本馬によるドバイターフ制覇を達成した。
今年のドバイワールドC開催に出走した日本馬は10頭いたが、そのうちディープインパクト産駒はヴィブロス1頭だけで、“世界を獲れるディープインパクト”を改めて内外にアピールする結果となった。また、その能力を100パーセント引き出したJ.モレイラ騎手の好騎乗と、能力を100パーセント発揮できる状態に仕上げた友道厩舎の手腕を、心から称えたいと思う。

ドバイターフ(G1)

3月25日(土曜) メイダン競馬場 1,800m(芝)
第7レース 現地時間 19:30(日本時間 3月26日(日曜)0:30)発走

※表は横にスクロールすることができます。

着順 馬番
(ゲート番)
馬名 性齢 騎手 タイム・着差 調教師
1 9 ヴィブロス 牝4 J.モレイラ 1:50:20 友道康夫(JPN)
2 3 エシェム 牡4 G.ブノワ 1/2 C.フェルラン(FR)
3 1 リブチェスター 牡4 W.ビュイック 1/2 R.フェイヒー(GB)
4 2 ザラック 牡4 C.スミヨン 1 3/4 A.ドゥロワイエデュプレ(FR)
5 6 ムタケイエフ せん6 J.クローリー 3 W.ハガス(GB)
6 4 デコレーテッドナイト 牡5 A.アッゼニ 1 1/4 R.チャールトン(GB)
7 12 ドーヴィル 牡4 R.ムーア クビ A.オブライエン(IRE)
8 11 クーガーマウンテン 牡6 D.オブライエン 1 1/4 A.オブライエン(IRE)
9 10 デットコレクター せん4 M.ロッド 1 1/4 C.ブラウン(SIN)
10 8 ベリースペシャル 牝5 S.デソウサ 4 1/2 S.ビン・スルール(UAE)
11 7 モンディアリスト 牡7 D.タドホープ 4 1/4 D.オメーラ(GB)
12 13 ロングアイランドサウンド 牡4 S.ヘファナン 2 A.オブライエン(IRE)
13 5 オパールティアラ 牝4 O.マーフィー 18 M.シャノン(GB)

※馬齢は主催者発表を記載。
エミレーツレーシングオーソリティの加齢基準日は南半球産馬が7月1日、北半球産馬が1月1日です。

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