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  ウオッカ引退特集




牝6 2004.4.4生 鹿毛  
父 タニノギムレット 母 タニノシスター (母の父 ルション)
調教師 角居勝彦(栗東) 馬主  谷水雄三 
生産者 カントリー牧場(静内)
通産成績 22戦10勝(海外4戦0勝) 
獲得賞金 13億487万6000円(JRAのみ:本賞金+付加賞)

数々の常識を覆し、挑戦し続けた女王
2年連続のJRA年度代表馬、JRA史上牝馬第1位となる獲得賞金、JRA・G1最多勝タイとなる7勝、そして何と言っても1943年のクリフジ以来64年ぶり3頭目となる牝馬による日本ダービー制覇――。
こうして文字だけでそのキャリアを振り返ってみると、「完全無欠のスーパーウーマン」を想像してしまいがちだが、ウオッカは少し違う。何度も敗戦を経験し、そこから何度も立ち上がることで、そのキャリアを前人未踏の領域にまで高めていった馬だった。

G1桜花賞を迎えるまで、ウオッカはまさしく「天才少女」だった。
2歳女王を決めるG1阪神ジュベナイルフィリーズで2歳芝1600mの日本レコードを記録して快勝し、JRA最優秀2歳牝馬に選出。さらに3歳初戦となったエルフィンSでは他馬より2kg重い斤量を背負いながら3馬身差で圧勝すると、続くG3チューリップ賞でも見事な差し切り勝ち。桜花賞はウオッカで決まりとする声も多かった。
しかし、単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めた桜花賞でウオッカはダイワスカーレットの2着に敗れる。ウオッカが初めて経験する大きな蹉跌だった。

それまでの常識から考えれば、牝馬同士のオークスで巻き返しを図るのがごく当たり前の選択肢に思えた。
だが、陣営はここでウオッカにさらに厳しい試練を課す。なんと、牡馬が相手となる日本ダービーへの参戦を決めたのだ。牝馬の優勝は戦前にまで遡らなければならず、牝馬の参戦自体も11年ぶりのことだった。桜花賞で敗れた馬が牡馬相手に果たして通用するのか。ファンの意見は割れていた。
そして迎えた日本ダービー。ウオッカは直線で豪快な末脚を披露して見事に優勝を果たす。桜花賞からおよそ1カ月半。敗戦を糧に、一回りも二回りも成長したウオッカの姿がそこにはあった。

 日本ダービー以降のウオッカは連敗の長いトンネルに入る。G1宝塚記念8着を初めに、ドバイ遠征も挟みつつ翌年のG1ヴィクトリアマイルまで7連敗を喫したのだ。G1エリザベス女王杯では右寛ハ行のため、レース当日に出走を取り消すアクシデントもあった。

日本ダービーで見せたあの強さはもう見られないのか。
そんな思いがファンの胸を去来するなか迎えた2008年のG1安田記念でウオッカは鮮やかに復活を果たす。香港の強豪アルマダにつけた3 1/2馬身差は安田記念がG1に格付けされた1984年以降では最大のもの。マイル戦においては決定的といえる着差だろう。勝つ時の鮮やかさ、豪快さがウオッカの大きな魅力のひとつだ。
その後、ウオッカは宿敵ダイワスカーレットをわずか2cmだけ交わして勝利したG1天皇賞秋、さらに翌年には7馬身差で制したG1ヴィクトリアマイル、直線で行き場を失う絶体絶命のピンチから残り100mで日本ダービー馬ディープスカイを差し切ったG1安田記念、そしてまたも2cm差で菊花賞馬オウケンブルースリの追撃を凌いだG1ジャパンカップとG1勝利を積み重ねた。
だが、実のところ、チューリップ賞以降のキャリアでウオッカが連勝を飾ったことはわずかにヴィクトリアマイルと安田記念の1度しかない。

圧倒的な強さと意外なほどのもろさ。その振り幅の大きさがこれまでの名馬との違いだろう。もちろん、その振り幅は牡馬相手、そして海外遠征と常に挑戦し続けてきたからこそ生まれたものであり、それがウオッカの勝利にドラマティックな要素を与えてくれた。数々の常識を覆し、挑戦し続けた女王、それがウオッカだった。
最後に、ウオッカが志半ばにして終えたのがドバイ遠征だ。3年連続して参戦しながら、良い結果を残すことは出来なかった。
ウオッカの今年の交配相手には昨年の凱旋門賞馬シーザスターズが予定されているという。母が果たせなかったドバイでの勝利は、産駒に期待したい。

文・秋山響(TPC)




 



年月日 開催場 レース名 着順 騎手 距離 タイム 1(2)着馬 HIGH LOW
06.10.29 5京都8 新馬 1 鮫島克 芝1600 1.35.0 (レースドール)
06.11.12 6京都4 黄菊賞 2 四 位 芝1800 1.49.5 マイネルソリスト
06.12.03 3阪神2 阪神ジュベナイルF(GI) 1 四 位 芝1600 1.33.1 (アストンマーチャン)
07.02.03 2京都3 エルフィンS 1 四 位 芝1600 1.33.7 (ニシノマナムスメ)
07.03.03 1阪神3 チューリップ賞(GIII) 1 四 位 芝1600 1.33.7 (ダイワスカーレット)
07.04.08 2阪神6 桜花賞(GI) 2 四 位 芝1600 1.33.9 ダイワスカーレット
07.05.27 3東京4 日本ダービー(GI) 1 四 位 芝2400 2.24.5 (アサクサキングス)
07.06.24 3阪神4 宝塚記念(GI) 8 四 位 芝2200 2.14.0 アドマイヤムーン
07.10.14 4京都5 秋華賞(GI) 3 四 位 芝2000 1.59.3 ダイワスカーレット
07.11.25 5東京8 ジャパンC(GI) 4 四 位 芝2400 2.24.9 アドマイヤムーン
07.12.23 5中山8 有馬記念(GI) 11 四 位 芝2500 2.35.7 マツリダゴッホ
08.02.23 2京都7 京都記念(GII) 6 四 位 芝2200 2.13.9 アドマイヤオーラ
08.03.29 UAE ドバイデューティフリー(GI) 4 武 豊 芝1777 1.46.5 ジェイペグ    
08.05.18 2東京8 ヴィクトリアマイル(GI) 2 武 豊 芝1600 1.33.8 エイジアンウインズ
08.06.08 3東京6 安田記念(GI) 1 岩 田 芝1600 1.32.7 (アルマダ)
08.10.12 4東京2 毎日王冠(GII) 2 武 豊 芝1800 1.44.6 スーパーホーネット
08.11.02 4東京8 天皇賞(秋)(GI) 1 武 豊 芝2000 1.57.2 (ダイワスカーレット)
08.11.30 5東京8 ジャパンC(GI) 3 岩 田 芝2400 2.25.7 スクリーンヒーロー
09.03.05 UAE ジェベルハッタ(GII) 5 武 豊 芝1777 1.49.1 バリウス    
09.03.28 UAE ドバイデューティフリー(GI) 7 武 豊 芝1777 1.48.2 グラディアトーラス    
09.05.17 2東京8 ヴィクトリアマイル(GI) 1 武 豊 芝1600 1.32.4 (ブラボーデイジー)
09.06.07 3東京6 安田記念(GI) 1 武 豊 芝1600 1.33.5 (ディープスカイ)
09.10.11 4東京2 毎日王冠(GII) 2 武 豊 芝1800 1.45.5 カンパニー
09.11.01 4東京8 天皇賞(秋)(GI) 3 武 豊 芝2000 1.57.5 カンパニー
09.11.29 5東京8 ジャパンC(GI) 1 ルメール 芝2400 2.22.4 (オウケンブルースリ)
10.03.04 UAE マクトゥームチャレンジ3(GII) 8 ルメール AW2000 2.03.3 レッドディザイア    



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