合田直弘の香港カップ回顧

2015/12/14

 前年に続くこのレース連覇を狙うデザインズオンローム(せん5)が3.4倍の1番人気に推されたが、オッズ10倍以下に6頭がひしめき合う、近年でも稀な大混戦模様となった。 

 スタートから最初のコーナーまで1Fほどしかないシャティンの2000mコースは、内枠が絶対的有利と言われている中、一頭が取り消して13頭立ての11番枠から出たエイシンヒカリ(牡4)が、鞍上武豊の巧みな誘導でじわじわと内側に入りつつ、1コーナーの入り口で先頭へ。そのまま同馬が、400mから800mのラップが23秒47、800mから1200mのラップが23秒75という、”タメ逃げ”ではなく後続にも脚を使わせるラップを刻んだため、向こう正面で隊列は縦に伸び、最後方からの競馬となったデザインズオンロームは先頭から15馬身も離れた位置を追走することになった。

 後続に2馬身差をつけて直線に入ったエイシンヒカリが、残り350mでステッキが入ると再加速。ゴール前で内を突いて伸びてきたのが、道中は9番手で競馬をしていたヌーヴォレコルト(牝4)だったが、これを1馬身封じたエイシンヒカリが逃げ切り勝ち。勝ち時計の2分0秒6は、トラックレコードに0.4秒差の優秀なものだった。

 道中4番手で競馬をした、4月のG1クイーンエリザベス2世C勝ち馬ブレイジンングスピード(せん6)が3着に入り、デザインズオンロームが4着。

 G1クイーンエリザベス2世C2着馬ステファノス(牡4)、G1マイルCS4着馬サトノアラジン(牡4)は、いずれも末脚不発で10着と11着に敗れている。

ロンジン香港カップ(G1)

12月13日(日) シャティン競馬場  2,000m(芝) 3歳以上
第8レース 16:30(日本時間 17:30)発走

着順 馬番 馬名 性齢 重量 調教師 騎手 タイム・着差
3 3 ブレイジングスピード せん6 126 A.クルーズ N.カラン 2 1/4
4 1 デザインズオンローム せん5 126 J.ムーア J.モレイラ 3 3/4
5 13 ルーシャヴァレンティーナ 牝5 122 K.リース(豪) D.オリヴァー 5 1/4
6 5 ミリタリーアタック せん7 126 C.ファウンズ Z.パートン 5 3/4
7 6 ダンエクセル せん7 126 J.ムーア H.ボウマン 6 3/4
8 10 ビューティーオンリー せん4 126 A.クルーズ G.モッセ 7 1/2
9 4 クライテリオン 牡5 126 D.ヘイズ(豪) C.ウィリアムズ 7 1/2
12 12 フリーポートラックス 牡4 126 F.ヘッド(仏) T.ジャルネ 9 1/4
13 2 フリーイーグル 牡4 126 D.ウェルド(愛) P.スマレン 11
取消 8 ゲリオショップ せん4 126 A.ワトリガン(仏) - -
着順 馬名 騎手 タイム・着差
3 ブレイジングスピード N.カラン 2 1/4
4 デザインズオンローム J.モレイラ 3 3/4
5 ルーシャヴァレンティーナ D.オリヴァー 5 1/4
6 ミリタリーアタック Z.パートン 5 3/4
7 ダンエクセル H.ボウマン 6 3/4
8 ビューティーオンリー G.モッセ 7 1/2
9 クライテリオン C.ウィリアムズ 7 1/2
12 フリーポートラックス T.ジャルネ 9 1/4
13 フリーイーグル P.スマレン 11
取消 ゲリオショップ - -

※ 着差は1着馬からのものです。
※ 馬齢は主催者発表のものを記載しております。
※ 126lbs=約57kg、122lbs=約55.5kg

関係者コメント

1着エイシンヒカリ(坂口 正則調教師)

「馬はいつになく落ち着いていてそれが功を奏しました。うまくハナにいけたことが全てだと思います。」

1着エイシンヒカリ(武 豊騎手)

「馬のコンディションはすごくよかったので、いいレースができると思っていました。迷いなく逃げたかったのでこれは作戦通りにいけました。道中いきたがっていたところもありますが、ギリギリ我慢できて暴走せず良かったです。直線に入って加速し、残り100mで勝利を確信しました。やっと勝てたレースですし、先代オーナーが香港競馬に情熱を持っていたので勝利できてよかったです。」

2着ヌーヴォレコルト(斎藤 誠調教師)

「騎手は届くと信じて乗りますと宣言して後ろ気味の位置取りをしてくれました。今日の末脚は目を見張るものがありましたが、逃げ馬にうまく逃げられてしまいました。2着続きで残念でありますが、マルチな脚が使えるようになってきたので収穫はありました。」

2着ヌーヴォレコルト(R.ムーア騎手)

「馬はよく頑張ってくれました。」

10着ステファノス(藤原 英昭調教師)

「馬の調子が良かった分、敗因が良くわかりません。今後に向けて敗因を探っていかなければと思います。馬も騎手も頑張ってくれて感謝しています。香港ジョッキークラブには招待していただいてとても感謝しています。」

10着ステファノス(戸崎 圭太騎手)

「馬の調子は良かったですが、内に入れず外になってしまい、ちょっと厳しいレースになってしまいました。」

11着サトノアラジン(岩崎 祐己調教助手)

「初めての海外遠征でしたが、馬はよく頑張ってくれました。日本に帰ってからも頑張って欲しいです。」

11着サトノアラジン(J.マクドナルド騎手)

「道中いい走りを見せてくれましたが、ちょっとペースについていくことが難しかったです。前残りのレースになってしまいリズムに乗れませんでした。」

香港カップのリポート映像