平松さとし香港現地リポート 第5回(最終回)

2016/04/25

雨が降っては止んでを繰り返した4月24日の香港、シャティン競馬場。
クイーンエリザベス2世カップのスタート時こそ雨は止んだものの、時おり、バケツをひっくり返したような豪雨になった時間帯もあり、馬場はYielding。
日本流に言えば重というところだろうか。結果もこの馬場の巧拙が大きく影響する形になった。

スタート後、一瞬、ハナへ立ったのがサトノクラウン。その後、控える形になり、その後ろのインにラブリーデイ。ヌーヴォレコルトは後方から進む形になった。
勝負どころではインを突いてラブリーデイが進出。手応えの怪しくなったサトノクラウンは後退し、ヌーヴォレコルトもジリジリとしか伸びない中、直線では先頭に立つシーンを演出した。
しかし手綱をとったJ.モレイラが「前半少しハミをとってしまった」と言うように、多少力む場面があった分、最後の伸びを欠いた。
かわって出てきたのは香港ダービー馬のウェルテル。あっという間に先頭に立つと後続との差をグングンと広げる。直線半ばでは勝負を決し、最後は2着のミリタリーアタックに4馬身1/2差の差をつけて圧勝してみせた。勝ち時計の2分1秒32もこの日の馬場状態を考慮すればかなり優秀。相当の道悪巧者だったということだろう。
ラブリーデイは伸び切れず4着。見守った池江泰寿調教師も残念そうに「少し力んだのと道悪で伸びなかったようです」と語った。
後方から差を詰めたヌーヴォレコルトも6着まで。騎乗した武豊騎手は「後方からというのは考えていた通り。牝馬のパワーでこなすには難しい馬場状態になってしまいました」と充分に雨を吸った馬場を敗因に挙げた。
サトノクラウンは12着。Z.パートン騎手は「良いスタートを決めてよいポジションをとれたけど、極端な道悪がこたえたのか最後は反応してくれなかった」と淡々と語った。
期待された日本勢は残念ながら勝利という形で結果を残すことは出来なかった。しかし、海を越えて敵地に乗り込む戦いは、元来勝てなくても当然といえる。ガックリと肩を落とす必要はないだろう。モーリスがチャンピオンズマイルに出走する次週以降の挑戦に、また期待したい。