2016年のワールドベストホースである米国調教馬アロゲート(牡4、父アンブライドルズソング)が、圧倒的1番人気(JRAのオッズ1.2倍)に支持され、昨年11月のG1クラークHを含む重賞5勝の米国調教馬ガンランナー(牡4、父キャンディライド)が3番人気(JRAのオッズ14.3倍)。4頭出しだった日本勢は、アウォーディー(牡7、父ジャングルポケット)が2番人気(JRAのオッズ10.4倍)、ゴールドドリーム(牡4、父ゴールドアリュール)が4番人気(JRAのオッズ16.3倍)、アポロケンタッキー(牡5、父ラングフール)が5番人気(JRAのオッズ20.4倍)、ラニ(牡4、父タピット)が7番人気(JRAのオッズ31.5倍)だった。
発馬直後にアロゲートが他馬と接触し、なんと馬群最後方に置かれるという想定外の展開に。その後、鞍上M.スミスに促されて番手を上げて行こうとしたが、初めての道悪に戸惑ったか反応は良くなく、向こう正面に入ってなお後ろから3頭目に位置した段階では、世界王者も万事休すかと思われた。
道中2番手にいたガンランナーが3コーナーで先頭に立った頃、ようやくアロゲートが進出を開始。大きなストライドでまくって3番手で直線に向くと、残り1ハロンでガンランナーを捉え、最後は2.1/4馬身抜け出して優勝。昨年8月のG1トラヴァーズS、11月のG1BCクラシック、今年1月のG1ペガサスワールドCに続く、4度目のG1制覇を果たした。おそらくは、このまま引退まで負けることはないはずで、134という現在の持ちレイティングがどこまで上がるかが、今後の焦点となりそうである。また、大ピンチにも全く動じず、冷静な手綱さばきで勝利に導いたM.スミス騎手にも感服させられた。
日本馬は、先行して粘ったアウォーディが5着、最後方から追い込んだラニが8着、アポロケンタッキーは9着、ゴールドドリームは14着に終わっている。
3月25日(土曜) メイダン競馬場 2,000m(ダート)
第9レース 現地時間 20:45(日本時間 3月26日(日曜)1:45)発走
※表は横にスクロールすることができます。
着順 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 騎手 | タイム・着差 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | アロゲート | 牡4 | M.スミス | 2:02:15 | B.バファート(USA) |
2 | 5 | ガンランナー | 牡4 | F.ジェルー | 2 1/4 | S.アスムッセン(USA) |
3 | 11 | ネオリシック | 牡4 | J.ヴェラスケス | 5 | T.プレッチャー(USA) |
4 | 14 | ムブタヒージ | 牡5 | C.スミヨン | 1 3/4 | M.デコック(SAF) |
5 | 7 | アウォーディー | 牡7 | 武 豊 | 1 1/2 | 松永幹夫(JPN) |
6 | 12 | ホッパーチュニティ | 牡6 | F.プラ | クビ | B.バファート(USA) |
7 | 10 | キーンアイス | 牡5 | J.カステリャーノ | 1 | T.プレッチャー(USA) |
8 | 4 | ラニ | 牡4 | R.ムーア | 4 | 松永幹夫(JPN) |
9 | 1 | アポロケンタッキー | 牡5 | C.ルメール | 5 | 山内研二(JPN) |
10 | 6 | ムーヴアップ | 牡4 | A.デフリース | 2 3/4 | S.ビン・スルール(UAE) |
11 | 2 | ロングリバー | 牡7 | M.バルザローナ | 8 | S.ビン・ガデイヤー(UAE) |
12 | 13 | スペシャルファイター | 牡6 | F.ハラ | 15 | M.リッチー(UAE) |
13 | 8 | フリアクルサーダ | 牝5 | A.フレス | 1/2 | E.シャルピー(UAE) |
14 | 3 | ゴールドドリーム | 牡4 | J.モレイラ | 13 1/2 | 平田修(JPN) |
※馬齢は主催者発表を記載。
エミレーツレーシングオーソリティの加齢基準日は南半球産馬が7月1日、北半球産馬が1月1日です。
このレース連覇を狙った英国調教馬ポストポンド(牡6、父ドバウィ)が、1番人気(JRAのオッズ2.1倍)。昨年のG1キングジョージ&クイーンエリザベスS、G1BCターフを含めて、4つのG1を制している愛国調教馬ハイランドリール(牡5、父ガリレオ)が2番人気(JRAのオッズ3.5倍)。日本から参戦のサウンズオブアース(牡6、父ネオユニヴァース)は4番人気(JRAのオッズ6.5倍)だった。
大方の予想通りにハイランドリールがハナを切り、競りかけていく馬もおらず、半マイル=54秒46、6ハロン=1分18秒35という超スローペースとなった。ポストポンドはハイランドリールをマークするように2番手、サウンズオブアースは4番手での競馬となった。
ペースが上がらないまま最終コーナーを迎え、瞬発力勝負になった中、抜群の手応えのまま直線残り400mで先頭に立ったのが、道中3番手で競馬をしていたジャックホブス(牡5、父ホーリング)で、同馬が後続を2.1/4馬身引き離して優勝。昨年、G1愛オークス、G1ヨークシャーオークスと2つのG1を制していたセブンスヘブン(牝4、父ガリレオ)が、道中6番手から追い込み2着。サウンズアブアースは伸びずに6着。直線で失速したハイランドリールは最下位の7着に敗れている。
3歳時、G1愛ダービーに勝ち、G1英ダービー2着の実績を残していたジャックホブス。管理するJ.ゴスデン調教師は同馬が3歳時から、完成するのは古馬になってからと語っていたが、4歳時初戦となったG2ジョッキークラブSは競走中止に終わり、診断の結果、骨盤骨折が判明。復帰戦となった10月のG1英チャンピオンS3着に終わっていた。
ここで、いよいよ本格化を思わせるパフォーマンスを見せたジャックホブスが、今季の欧州古馬12ハロン路線を牽引するのは間違いなさそうである。
3月25日(土曜) メイダン競馬場 2,410m(芝)
第8レース 現地時間 20:05(日本時間 3月26日(日曜)1:05)発走
※表は横にスクロールすることができます。
着順 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 騎手 | タイム・着差 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | ジャックホブス | 牡5 | W.ビュイック | 2:32:39 | J.ゴスデン(GB) |
2 | 6 | セブンスヘブン | 牝4 | S.ヘファナン | 2 1/4 | A.オブライエン(IRE) |
3 | 7 | ポストポンド | 牡6 | A.アッゼニ | 1 3/4 | R.ヴェリアン(GB) |
4 | 5 | プライズマネー | せん4 | A.デフリース | 1/2 | S.ビン・スルール(UAE) |
5 | 1 | アーンショー | 牡6 | M.バルザローナ | 2 1/4 | S.ビン・ガデイヤー(UAE) |
6 | 4 | サウンズオブアース | 牡6 | C.ルメール | 3 3/4 | 藤岡健一(JPN) |
7 | 3 | ハイランドリール | 牡5 | R.ムーア | 1 1/2 | A.オブライエン(IRE) |
※馬齢は主催者発表を記載。
エミレーツレーシングオーソリティの加齢基準日は南半球産馬が7月1日、北半球産馬が1月1日です。
昨年のG1仏ダービー2着馬で、今季初戦だった前走G3ドバイミレニアムSを勝っての参戦だった仏国調教馬のザラック(牡3、父ドバウィ)が、1番人気(JRAのオッズ2.8倍)。昨年のG1ジャックルマロワ賞勝ち馬で、続くG1クイーンエリザベス2世Sで2016年のカルティエ賞欧州年度代表馬マインディングの2着になった際に、今年のドバイターフ出走馬の中では最高値となるレイテイング122を獲得した英国調教馬リブチェスター(牡4、父イフラージ)が2番人気(JRAのオッズ4.5倍)。リアルスティールの出走取りやめによって、日本から単騎参戦することになったヴィブロス(牝4、父ディープインパクト)は5番人気(JRAのオッズ8.8倍)だった。
ゲートが開くとリブチェスターが抑えきれない勢いでハナに立つ予想外の展開に。ザラックはこれを目の前に見る好位につけ、ヴィブロスは後方内ラチ沿いでの競馬となった。
直線に向きリブチェスターを追撃しようとしたザラックだったが、伸び脚は鈍く、代わって伸びたのが、同じ仏国調教の4歳馬で、ウジェーヌアダム賞を制しているエシェム(牡4、父フットステップスインザサンド)。同馬が残り100mでリブチェスターを交わそうとした刹那、更に外を飛んできたのが、直線に向くと進路を内から外に切り替えたヴィブロスで、同馬が最後はエシェムを半馬身交わして優勝。14年のジャスタウェイ、16年のリアルスティールに続き、ここ4年間で3度目の日本馬によるドバイターフ制覇を達成した。
今年のドバイワールドC開催に出走した日本馬は10頭いたが、そのうちディープインパクト産駒はヴィブロス1頭だけで、“世界を獲れるディープインパクト”を改めて内外にアピールする結果となった。また、その能力を100パーセント引き出したJ.モレイラ騎手の好騎乗と、能力を100パーセント発揮できる状態に仕上げた友道厩舎の手腕を、心から称えたいと思う。
3月25日(土曜) メイダン競馬場 1,800m(芝)
第7レース 現地時間 19:30(日本時間 3月26日(日曜)0:30)発走
※表は横にスクロールすることができます。
着順 | 馬番 (ゲート番) |
馬名 | 性齢 | 騎手 | タイム・着差 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | ヴィブロス | 牝4 | J.モレイラ | 1:50:20 | 友道康夫(JPN) |
2 | 3 | エシェム | 牡4 | G.ブノワ | 1/2 | C.フェルラン(FR) |
3 | 1 | リブチェスター | 牡4 | W.ビュイック | 1/2 | R.フェイヒー(GB) |
4 | 2 | ザラック | 牡4 | C.スミヨン | 1 3/4 | A.ドゥロワイエデュプレ(FR) |
5 | 6 | ムタケイエフ | せん6 | J.クローリー | 3 | W.ハガス(GB) |
6 | 4 | デコレーテッドナイト | 牡5 | A.アッゼニ | 1 1/4 | R.チャールトン(GB) |
7 | 12 | ドーヴィル | 牡4 | R.ムーア | クビ | A.オブライエン(IRE) |
8 | 11 | クーガーマウンテン | 牡6 | D.オブライエン | 1 1/4 | A.オブライエン(IRE) |
9 | 10 | デットコレクター | せん4 | M.ロッド | 1 1/4 | C.ブラウン(SIN) |
10 | 8 | ベリースペシャル | 牝5 | S.デソウサ | 4 1/2 | S.ビン・スルール(UAE) |
11 | 7 | モンディアリスト | 牡7 | D.タドホープ | 4 1/4 | D.オメーラ(GB) |
12 | 13 | ロングアイランドサウンド | 牡4 | S.ヘファナン | 2 | A.オブライエン(IRE) |
13 | 5 | オパールティアラ | 牝4 | O.マーフィー | 18 | M.シャノン(GB) |
※馬齢は主催者発表を記載。
エミレーツレーシングオーソリティの加齢基準日は南半球産馬が7月1日、北半球産馬が1月1日です。