未来に語り継ぎたい名馬
究極のサラブレッド
ディープインパクト
2005年 菊花賞
2002年3月25日生 牡 鹿毛
父 サンデーサイレンス
母 ウインドインハーヘア(父 Alzao)
馬主/金子真人氏→金子真人ホールディングス㈱
調教師/池江泰郎(栗東)
生産牧場/ノーザンファーム(北海道・早来町)
通算成績/14戦12勝(うち海外1戦0勝)
主な勝ち鞍/06有馬記念(GI) 06ジャパンC(GI) 06宝塚記念(GI)
06天皇賞・春(GI) 5菊花賞(GI) 05日本ダービー(GI)
05皐月賞(GI) 06阪神大賞典(GII) 05神戸新聞杯(GII)
05弥生賞(GII)
馬名の由来:深い衝撃(英語)
全てのカテゴリで1位を独占
●近代競馬における最高傑作。日本史上最強のサラブレッド(40代・男性)
●純粋に走るのが凄く速い馬。彼の走りは圧倒的だった(20代・男性)
●「この馬を見るためだけに競馬場に行きたい」と思わせてくれる馬(40代・男性)
●いつかディープの仔で凱旋門賞を制覇することを夢見ています(40代・男性)
●レースリプレイを見ると当時の興奮が蘇る(30代・男性)
●後にも先にもこれ以上の名馬なし(50代・女性)
現役時代に刻んだ深い衝撃 種牡馬としても覇道を突き進む
父は打ち出の小槌のように次々と大物を送り出し、非現実的と思えるほどの成功を収めたサンデーサイレンス。そんな大種牡馬の、衆目の一致する最高傑作がディープインパクトである。現役時代は「飛ぶ」と表現された破格の末脚を武器にターフを席巻。史上2頭目の無傷の三冠制覇、歴代最多タイのJRAGI 通算7勝など、数々の金字塔を打ち立てた。1頭だけ、別次元のレースを走っているようだった抜群の加速力は強烈な磁力も併せ持ち、見る人の心を鷲づかみにした。
当然、競走生活に終止符を打ち、種牡馬としてのスタートを切った際には大きな期待がかけられた。しかし冷静に考えれば第2の生活で挑むハードルが高く険しいものになることは明らかといえた。一定レベルの成功なら誰もが確信していたが、何しろ比べられる相手はサンデーサイレンス。あれほどの猛威を振るった父と遜色のない成功なんて常識的にはあり得ない──はずだった。
ところが初年度産駒がデビューした2010年以降、加速度的に勢力を強めてきた産駒たちの活躍によって、ディープインパクトは今や、父に比肩するほどの地位を築きつつある。昨年の暮れに記録した「6開催日連続のJRA重賞制覇」のように、サンデーサイレンスの上を行くレコードも樹立し始めている。非現実的と思えたレベルの成功が、すでに視界に入ってきているのだ。
種牡馬入りの当初から現在の隆盛を確信していた人はきっとこう思いながら、大いに溜飲を下げているに違いない。だって競走時代はあれだけ凄い馬だったんだぜ? 一方では映像や記録を通じて得た現役時の知識に産駒の活躍を重ね、こんな想像を膨らませる人もいるはずだ。リアルタイムであの走りを体感していたら、どれほどの衝撃を覚えたんだろう? いずれにしても私たちは今、改めて、ディープインパクトの“凄さ”を追体験している真っ最中なのである。
史上最強馬と呼ばれた名馬は過去に何頭もいた。だが種牡馬入りした後、これほど眩い輝きを放った〝史上最強馬〟は過去には1頭もいなかった。現役時代に刻んだ深い衝撃をますます増幅させながら、種牡馬としての〝覇道〟も突き進むディープインパクト。未曾有のシュプールはまだまだ、どこまでも伸びていきそうだ。
(文=石田敏徳)