未来に語り継ぎたい名馬
稀代の才媛と称された貴婦人
ジェンティルドンナ
2012年 ジャパンカップ
2009年2月20日生 牝 鹿毛
父 ディープインパクト
母 ドナブリーニ(父 Bertolini)
馬主/(有)サンデーレーシング
調教師/石坂正(栗東)
生産牧場/ノーザンファーム(北海道・安平町)
通算成績/19戦10勝(うち海外2戦1勝)
主な勝ち鞍/14有馬記念(GI)
14ドバイシーマクラシック(UAE-GI)
12・13ジャパンC(GI)
12秋華賞(GI)
12オークス(GI)
12桜花賞(GI)
12ローズS(GII)
12シンザン記念(GⅢ)
馬名の由来:貴婦人(イタリア語)
やや女性からの支持が厚め
●引退レースで強さを誇示した貴婦人・ジェンティルが1位です(30代・男性)
●牝馬の枠を超え、数々のチャレンジをしてのGI 7勝は偉業(40代・男性)
●可愛い顔なのに男の子を負かす程強いのがカッコ良い(30代・女性)
●10頭選ぶのに3日もかかりましたが、1位のジェンティルドンナは不動でした(30代・女性)
●オルフェをぶっとばすど根性走りに惚れました。彼女のように強く生きたい(40代・女性)
GI 7勝、獲得賞金額歴代2位、 さらに2度の年度代表馬受賞
まだ記憶の中で鮮明に輝き続けている昨年の有馬記念。イタリア語で貴婦人の意味をもつ美しき淑女が感動のラストランで有終の美を飾った。
史上初の2連覇。そしてさらなる高みを目指して挑んだ前走のジャパンCで4着と悔しい敗戦を喫した。
それでも、ここまで貴婦人は誇るべき数多くの勲章を手に入れてきた。
これまで3頭しか成し遂げられなかった牝馬三冠の座。周囲の馬に囲まれ、目を覆いたくなった不利な位置から、信じられない末脚を披露して制したドバイシーマクラシック。
そして、前述のジャパンC2連覇。
GI 6勝。その中身も牝馬の域を超越している。これだけでも十分、歴史に残る名馬として名を記し、現役生活に終止符を打ってもおかしくはなかった。
しかし、あと一戦、有馬記念で引退。
どうしても、この馬の力をグランプリで証明し、胸を張ってターフを去る。陣営の意気込みを感じる決断だった。
ただ、初めての中山競馬場。この年、5戦したが、勝利したのはドバイシーマクラシックのみ。不安要素も指摘され、単勝の人気も貴婦人にとって、これまででもっとも低い4番手でレースを迎えることになった。
ここから先の話は、ここで触れることもないだろう。わずか2カ月前、誰もが忘れることができない感動のエンディングを目撃したばかりなのだから。
GI 7勝。獲得賞金額歴代2位。さらに2度目の年度代表馬の記録を手土産に繁殖生活に入ったジェンティルドンナだが、今後、その圧倒的な彼女のパフォーマンスは、ファンの間でいつまでも語り継がれていくことは間違いない。
(文=広見直樹)