未来に語り継ぎたい名馬
優雅に眺めた名馬の絶景
ブエナビスタ
2010年 ヴィクトリアマイル
2006年3月14日生 牝 黒鹿毛
父 スペシャルウィーク
母 ビワハイジ(父 Caerleon)
馬主/(有)サンデーレーシング
調教師/松田博資(栗東)
生産牧場/ノーザンファーム(北海道・早来町)
通算成績/23戦9勝(うち海外2戦0勝)
主な勝ち鞍/11ジャパンC(GI)
10天皇賞・秋(GI)
10ヴィクトリアマイル(GI)
09オークス(JpnI)
09桜花賞(JpnI)
08阪神ジュベナイルフィリーズ(JpnI)
10京都記念(GII)
09チューリップ賞(JpnⅢ)
馬名の由来:素晴らしい景色、絶景(スペイン語)
若い女性からの熱烈な支持
●いつも一所懸命な姿に勇気付けられた。競馬を見て初めて泣いた5歳のジャパンC(50代・男性)
●パドックではおしとやかに歩き、レースになるといつも一所懸命な姿が大好き(40代・女性)
●最強牝馬! ルックス、勝負根性、共に素晴らしい名馬です(20代・男性)
●直線の鬼脚と最後まで諦めない姿に感動(40代・男性)
●常に全力で走る姿を見せてくれて、応援するのが楽しかった(40代・男性)
つい呆然としてしまうくらい 安定して強さを発揮していた
競馬仲間がブエナビスタに出資していた。くまさんだ。この人の馬運は素晴らしく、マイネルラヴやダンスインザムードなど愛馬に多数のGI 勝ちがある。手作りの横断幕を全国のパドックに出して応援を続ける人だから、馬にも競馬の神様にもきっと熱意が伝わるのだろう。
当たり前の姿勢として、くまさんはすべての馬に感謝を忘れない。ただ、その中にあっても「ブエナ」の名前は、とりわけ口にのぼる回数の多い気がする。
「妹も同じなんだけど、耳が長くて美人なの。それに、小さくておとなしいから、とにかく可愛いんだよね」
自分の孫について語るかのようだ。
デビュー戦は452㌔、母同様、馬格に恵まれたわけではない。それでも23戦を走り抜き、GI を6勝した。スペシャルウィーク牝馬の最高傑作として、ブエナビスタはシーザリオと双璧をなす。
くまさんに言われて気づいたのだが、のちに「伝説」と評されたデビュー戦以降、国内では5歳の天皇賞・秋まで、実に19戦連続して1番人気に推された。走ったレースや戦ってきたメンバーを思う時、つい呆然としてしまう。それくらい安定して強かったわけだ。さらにくまさんは言った。「激しいレースを繰り返したのに一度もケガがなかった。あんな丈夫な馬、絶対いないよ」と。
現役の途中、ジャパンCにおける降着など不運もあった。でもブエナはめげなかった。パドックではイレ込む素振りを少しも見せず、いつも一歩一歩、前だけを見つめて歩いていた。けなげな名牝。筆者は彼女をそうとらえている。
先日、2番仔が生まれた。「可愛くて丈夫な」ブエナは、次は母として、自らの第二幕について語り始める。
(文=河村清明)