未来に語り継ぎたい名馬
シンザン以来19年ぶりの三冠馬
ミスターシービー
1983年 菊花賞
1980年4月7日生 牡 黒鹿毛
父 トウショウボーイ
母 シービークイン(父 トピオ)
馬主/千明牧場
調教師/松山康久(美浦)
生産牧場/千明牧場(北海道・浦河町)
通算成績/15戦8勝
主な勝ち鞍/84天皇賞・秋(GI) 83菊花賞
83日本ダービー 83皐月賞
83弥生賞 83共同通信杯4歳S
●吉永正人との個性派コンビのレースは今思い出してもぞくぞくする(50代・男性)
●4角から直線ごぼう抜き。はらはらするけど大好きでした(60代・男性)
●一頭だけスポットライトが当たったように黒光りして輝いている馬体が今でも印象的(50代・男性)
セオリー無視のレースぶりで ファンに強烈なインパクト
シンザン以来19年ぶり、中央競馬史上3頭目となるクラシック三冠を達成し、翌年にはこの年から2000㍍に短縮された天皇賞・秋を制して計四冠をマークする。が、そうした記録よりも、ミスターシービーはレースぶりによって鮮烈なイメージをファンの心に刻んできた。
蹴り上げられた泥で帽子色の判別すら難しくなった不良馬場を力ずくでマクリ切った皐月賞。直線入口で外に弾き出されながらも体勢を立て直して差し切った日本ダービー。「淀の坂はゆっくり上り、ゆっくり下れ」のセオリーを敢然と無視、3~4コーナーで一気に加速するという挑発的な走りを完遂させた菊花賞。馬群を縫うようにポジションを上げた後、直線では豪脚を炸裂させてコースレコードを叩き出した天皇賞・秋。安定感のある走りを見せた1歳下のシンボリルドルフとは対照的に、スリルと爽快感に彩られた個性派の三冠馬だった。
(文=谷川善久)