未来に語り継ぎたい名馬
ドバイに日の丸をなびかせた雄
ヴィクトワールピサ
2010年 有馬記念
2007年3月31日生 牡 黒鹿毛
父 ネオユニヴァース
母 ホワイトウォーターアフェア(父 Machiavellian)
馬主/市川義美氏
調教師/角居勝彦(栗東)
生産牧場/社台ファーム(北海道・千歳市)
通算成績/15戦8勝(うち海外3戦1勝)
主な勝ち鞍/11ドバイワールドC(GI)
10有馬記念(GI)
10皐月賞(GI)
11中山記念(GII)
10弥生賞(GII)
●東日本大震災で暗い日本にドバイから聞こえてきた君が代。感動しました(20代・男性)
●日本が大変な年にドバイを制したことは一生忘れません(20代・男性)
●震災直後のドバイワールドC優勝のニュースは心が震えました(30代・男性)
震災で沈む日本を 勇気づけた勝利
ダノンシャンティ、ヒルノダムール、エイシンアポロン、エイシンフラッシュ、ローズキングダムといったGI 級の素質馬を相手に、未勝利戦からの5連勝で皐月賞を制したのが第一の勲章。4連敗を挟み、ブエナビスタとの死闘を制した有馬記念での復活勝利が第二の見せ場だ。
が、やはりヴィクトワールピサを語るうえで最大のクライマックスとなるのは4歳シーズン春、中山記念完勝をステップにして挑んだドバイ遠征だろう。行き脚のつかなかった序盤は後方を追走し、向正面で一気に2番手まで進出、直線でさらに脚を伸ばすという“二段スパート”を成功させたヴィクトワールピサは、早め先頭から押し切って、日本馬初のドバイワールドC制覇を成し遂げる。しかも2着にはトランセンドが逃げ粘り、日本馬のワンツーフィニッシュだ。第三の勲章は、震災に沈む日本を勇気づける快挙ともなったのである。
(文=谷川善久)