未来に語り継ぎたい名馬
牡馬と互角に戦ったマル外の女傑
ヒシアマゾン
1993年 阪神3歳牝馬S
1991年3月26生 牝 黒鹿毛
父 Theatrical
母 Katies(父 ノノアルコ)
馬主/阿部雅一郎氏
調教師/中野隆良(美浦)
生産者/Masaichiro Abe(米国)
通算成績/20戦10勝
主な勝ち鞍/94エリザベス女王杯(GI) 93阪神3歳牝馬S(GI) 95京都大賞典(GII)
95オールカマー(GII) 94ローズS(GII) 94ニュージーランドT4歳S(GII)
●黒色の女傑。私の中で、まだこれを超える美しい馬は現れない(40代・男性)
●本当に強かった。今だに最強牝馬と思っている。中舘騎手の最強のパートナー(40代・男性)
●クリスタルCでの最後の豪脚は、後世に語り継ぐべきでしょう(40代・男性)
いまだに語り草となる クリスタルCでの豪脚
まだクラシックがマル外に開放されていなかった1990年代半ばに活躍したアメリカ産馬。阪神3歳牝馬Sを5馬身差で勝利し、3歳時には重賞6連勝をマークした。桜花賞馬オグリローマンに完勝、オークス馬チョウカイキャロルにも競り勝ってエリザベス女王杯を制しているのだから「幻の牝馬三冠馬」と呼んでも決して過言ではないはずだ。有馬記念はナリタブライアンの2着、ランドが勝ったジャパンCでも日本馬最先着の2着と、牡馬や世界的強豪に混じっても見劣りしない実力の持ち主だった。
いまでも語り草となっているのはクリスタルCの豪脚。およそ届きそうもない位置から、届くはずのないタイミングで追い込んで、逃げ粘るタイキウルフを並ぶ間もなく交わし去った。残り100メートルの標識からゴールまでの11~12完歩で見せた瞬発力は、競走馬としての極限だったのではないだろうか。
(文=谷川善久)