波乱の皐月賞、そして二冠目は…

混沌のダービー激闘譜

皐月賞が波乱の決着となり、依然として混戦ムードが漂っている今年のダービー戦線。同様の様相を呈した日本ダービーは過去に幾つかあるが、決着の仕方は様々だ。ここでは過去6つのケースを紹介しよう。

(谷川善久=文 text by Yoshihisa Tanigawa)

『混沌のダービー激闘譜』についての詳細な記事は 『優駿』6月号をご覧ください。

Case1 1997年
皐月賞は11番人気サニーブライアンが勝利

ダービーは皐月賞馬による再びの逃走劇 サニーブライアン

1997.6.1 東京 晴・良 芝2,400m

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着順 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム(着差) 単勝(オッズ) 調教師
1 サニーブライアン 牡3 57 大西直宏 2:25.9 13.6(6) 中尾銑治(美浦)
2 シルクジャスティス 牡3 57 藤田伸二 1 6.2(3) 大久保正陽(栗東)
3 メジロブライト 牡3 57 松永幹夫 1/2 2.4(1) 浅見秀一(栗東)

ジュニアCの逃げ切りはあったものの重賞は未勝利。しかも弥生賞3着、若葉S4着と前哨戦で連敗。皐月賞でのサニーブライアンが単勝オッズ51.8倍の11番人気と低評価だったのも無理のないことだった。が、シルクライトニングの急追をクビ差しのぎ切って第一冠を獲得する。

Case2 2007年
皐月賞は7番人気ヴィクトリーが勝利

ダービーは牝馬による歴史的勝利で幕 ウオッカ

2007.5.27 東京 晴・良 芝2,400m

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着順 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム(着差) 単勝(オッズ) 調教師
1 ウオッカ 牝3 55 四位洋文 2:24.5 10.5(3) 角居勝彦(栗東)
2 アサクサキングス 牡3 57 福永祐一 84.5(14) 大久保龍志(栗東)
3 アドマイヤオーラ 牡3 57 岩田康誠 1 3/4 12.7(4) 松田博資(栗東)

ヴィクトリーとサンツェッペリンによる、いわゆる “ 行った行った”で決した皐月賞。タイム差なしの3着に追い込んだフサイチホウオーが日本ダービーでは断然の1番人気に推された。が、結果は7着。2番人気ヴィクトリーも9着に敗れる。レースを制したのは3番人気のウオッカだった。

Case3 2002年
皐月賞は15番人気ノーリーズンが勝利

ダービーは一転して人気サイドで決着 タニノギムレット

2002.5.26 東京 曇・良 芝2,400m

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着順 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム(着差) 単勝(オッズ) 調教師
1 タニノギムレット 牡3 57 武豊 2:26.2 2.6(1) 松田国英(栗東)
2 シンボリクリスエス 牡3 57 岡部幸雄 6.2(3) 藤沢和雄(美浦)
3 マチカネアカツキ 牡3 57 K.デザーモ アタマ 16.7(6) 藤沢和雄(美浦)

未勝利、シンザン記念、アーリントンC、スプリングSと4連勝を飾り、1番人気で皐月賞に臨んだタニノギムレット。だが伏兵ノーリーズンに屈し、追い込んで届かずの3着に終わる。栄冠を求めてNHKマイルCに進むも、直線での不利が響いてまたも1番人気3着。

Case4 2004年
皐月賞は10番人気ダイワメジャーが勝利

レコード決着したサバイバルダービー キングカメハメハ

2004.5.30 東京 晴・良 芝2,400m

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着順 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム(着差) 単勝(オッズ) 調教師
1 キングカメハメハ 牡3 57 安藤勝己 R 2:23.3 2.6(1) 松田国英(栗東)
2 ハーツクライ 牡3 57 横山典弘 1 1/2 17.1(5) 橋口弘次郎(栗東)
3 ハイアーゲーム 牡3 57 蛯名正義 1 3/4 6.4(3) 大久保洋吉(美浦)

後に名マイラーとして活躍するダイワメジャーがスピードで制した皐月賞から一転、日本ダービーは底力を競うレースとなった。マイネルマクロスが1000m通過57秒6の猛烈なラップで大逃げを打ち、後続も3コーナーから追撃、さあそこから誰が頑張れるのか。サバイバルが始まる。

Case5 2006年
皐月賞は6番人気メイショウサムソンが勝利

ダービーは本命評価に応えて二冠達成 メイショウサムソン

2006.5.28 東京 晴・稍重 芝2,400m

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着順 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム(着差) 単勝(オッズ) 調教師
1 メイショウサムソン 牡3 57 石橋守 2:27.9 3.8(1) 瀬戸口勉(栗東)
2 アドマイヤメイン 牡3 57 柴田善臣 クビ 6.4(4) 橋田満(栗東)
3 ドリームパスポート 牡3 57 四位洋文 13.0(7) 松田博資(栗東)

スプリングSを制しながら、素質馬と実績馬がそろった皐月賞では6番人気に甘んじたメイショウサムソン。だが好意から力強く脚を伸ばして二冠目を制覇。そのレースぶりにたちまち評価は見直され、日本ダービーには1番人気で出走することとなった。

Case6 2008年
皐月賞は7番人気キャプテントゥーレが勝利

皐月賞馬不在のダービーを制したのは… ディープスカイ

2008.6.1 東京 晴・良 芝2,400m

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着順 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム(着差) 単勝(オッズ) 調教師
1 ディープスカイ 牡3 57 四位洋文 2:26.7 3.6(1) 昆貢(栗東)
2 スマイルジャック 牡3 57 小牧太 1 1/2 49.2(12) 小桧山悟(美浦)
3 ブラックシェル 牡3 57 武豊 3/4 12.0(6) 松田国英(栗東)

皐月賞を2馬身半差で逃げ切ったキャプテントゥーレが骨折のため戦線離脱。替わって日本ダービーではレッツゴーキリシマがレースを先導したが、それも直線坂上まで。皐月賞では9着に敗れたスマイルジャックが3番手から抜け出し、競り合う後続を引き連れてゴールを目指す。